2021年8月5日木曜日

ダーク・スター (1974)

奇才ジョン・カーペンター監督の長編第1作。「エイリアン」の脚本家として知られるダン・オバノンと二人三脚で制作した低予算の自主製作的な映画。かなり脱力系の宇宙SF物ですが、いわゆる「カルト」化して根強い人気がある。

宇宙船ダーク・スターは、宇宙に人類が住める環境を整備するために、不安定惑星を排除する使命をおびて航行していました。邪魔な惑星を発見すると、自立型のコンピュータを搭載した爆弾を投下します。

船長はワープの際に何かの事故で無くなったらしく、ドゥリトルが指揮を執り、ひょうきん者のボイラーと、エイリアンを船内でペットにしているピンバック(ダン・オバノンが演じています)、一人でいるのが好きなタルヴィーの4人だけ。

前半では、彼らの何とも言えないボケーっとした日常が描かれます。しかし、機器の故障で爆弾20号が暴走。格納庫から出て、ダークスターから切り離されない状況で爆発体制に入ってしまう。ドゥリトルは船外に出て爆弾20号を説得します。

一度は格納庫に戻った爆弾20号でしたが、やはり一度感知した爆破命令を実行することが使命だとして、ついにスイッチが入りボイラー、ピッンバックと共に船体は粉々に吹っ飛んでしまう。船外にいたドゥーリトルは、船の残骸の板をサーフボードに見立てて宇宙空間をライドしていくのでした。

・・・と、まぁ、内容的にはそれほど面白いものではありません。自ら思考能力を持つコンピュータの反乱というテーマはあるんですが、深く掘り下げているとは言えません。もともと45分程度の南カリフォルニア大学映画学科の仲間が集まって作った物。

劇場公開するため、80分間に引き延ばす際にかなりコミカルなシーンが追加されたようです。はっきり言って、この部分が「ツボにはまる」人もいるかもしれませんが、全体の展開が間延びしてしまう結果になり、主軸となるストーリーにもほぼ無関係。

ピンバックとエイリアン(見た目にも大きなビーチボール!!)の追いかけっこは、やたらと長く稚拙な特撮を度外視しても飽きます。死んだはずの船長の遺体?が、保存されていてドゥリトルが、爆弾20号の暴走を止める相談をするのも、唐突で意味が伝わりにくい。

とりあえず、閉塞した管理社会からサーフィンで脱出した解放感みたいものが最後に漂う終わり方はまずまずというところですが、その先に生命を灯すことはできません。