2023年9月21日木曜日

るろうに剣心 最終章 The Final (2021)

監督の大友啓史、そして佐藤健主演の「るろうに剣心」シリーズのらすとスパートです。第1作が撮影開始が2011年、公開2012年。第2作(京都大火編伝説の最期編)は撮影開始が2013年、2014年8月と9月に前後編が相次いで公開されました。そして2019年に6年ぶりの完結編の撮影が開始されました。

今回も2部作ですが、物語が完結する「The Final」と剣心の人斬りになる始まりから第1作の冒頭につながる「The Beginning」という構成です。2020年に公開予定でしたが、コロナ禍により公開は2021年になりました。

明治12年、元新選組で今では警察に所属する斎藤一(江口洋介)は、横浜駅で列車を捜索し、志々雄真実に巨大鋼鉄艦を用意した清国の武器商人、雪代縁(新真剣佑)を乱闘の末に捕縛する。縁は斎藤に「抜刀斎の頬にはまだ十字の傷があるのか」と尋ねます。しかし清国との協定により、縁はすぐに放免されてしまいます。

幕末の時代、幕府と維新派が熾烈な戦いを繰り広げ、維新派の中に「人斬り抜刀斎」と呼ばれ恐れられた緋村剣心(佐藤健)は、新しい時代となって神谷薫(武井咲)、相楽左之助(青木崇高)、高荷恵(蒼井優)、明神弥彦(大西利空)らの仲間と静かな暮らしを取り戻しつつありました。しかし、彼らが行きつけの店が突然大砲で攻撃され、親しくしている前川道場が壊滅、警察署長(鶴見慎吾)宅が襲撃されます。

京都から旧幕府隠密の四乃森蒼紫(伊勢谷友介)、巻町操(土屋太鳳)が上京し、神谷道場を訪ねます。師走に剣心に関係する大きな事件が起こるという情報を伝えることと、かつて剣心が親しくしていた寺からの預かりものを渡すためでした。預かりものは雪代巴(有村架純)の日記でした。

剣心は意を決して、初めて自らの過去を仲間に話します。巴は、かつて人斬りで初めて左頬に傷をつけられた藩士と祝言を上げることになっていた女性で、復讐のために剣心に近づきましたが、次第に剣心の孤独を理解し、剣心も巴に心の安らぎを覚えるようになりました。しかし、幕府隠密に襲われた剣心を助けようとして、剣心の振り下ろした刀を受けてしまい、絶命の直前に左頬に短刀でもう一つの傷をつけたのです。

縁は巴の弟で、母親代わりだった巴を殺した剣心への復讐のためにはどんなことでも行うのでした。正月で賑わう江戸の町に突然火の手があがり、縁の手の者が手当たり次第に暴れまわります。剣心も必死に戦い、神谷道場に戻ると薫が縁に連れ去られていました。剣心は一人縁のアジトに向かいます。

敵の大群を相手に一人で戦う剣心でしたが、そこへ左之助や操が駆けつけ、斎藤が警官隊を連れて突入してくる。さらに、かつての敵だった瀬田宗次郎(神木隆之介)も介入し、全員が、剣心を前に進めるために道を作るのです。そして剣心は、剣心に対して姉の仇として怨念の塊と化した縁と対峙するのです。

前作の志々雄真実は映画的にも壮大な野望を持つ最大の敵でしたが、今回の縁は私怨だけですから、ちょっと小物感がありますが、強さは並大抵ではない。それは冒頭での列車内や列車の屋根での難易度の高い乱闘シーンで十分に披露されます。演じる新真剣佑は千葉真一の血を引くだけのことがあります。

その後も道場を中心にした静の場面と、縁一派との激しい殺陣が見れる動のシーンが交互にほどよく登場するので、飽きが来ません。このシリーズの殺陣のスピードと壮絶さは他に類を見ないくらい、独特で激しい。俳優一人一人が本気で動くところに、ワイヤーアクションの効果が絶大です。

剣心の人を殺し続けたことに対する償い方、そして愛した巴を殺してしまったことに対する剣心の心の霧が、どのように晴らされていくのか、一定の答えが用意されていますので、ファンのみならず必見です。