ドラマとかでの知識ですけど、航空管制にはずいぶんと興味を持ったていたので、1月2日に発生した羽田の事故は大変気になりました。
東京国際空港(羽田空港)には4本の滑走路があり、離陸・着陸のいずれもこなします。旅客機が通常使用する時間帯は午前6時から午後11時までで、深夜帯は主として貨物便が利用しています。離陸は午前9~10時台、着陸は午後9~10時台がピークになります。
コロナ禍前の水準で、1日の発着数は約1200回。平均すれば1.2分ごとに離陸・着陸が行われていることになりますが、当然深夜は少なく、昼間のピーク時には45秒ごとという超過密スケジュールの運用をしています。
航空管制は、最もストレスが高い仕事の一つと言われていますが、これだけの数の飛行機の出入りをさばくのですから、特に羽田の管制塔の仕事の大変さは並大抵のものではないと容易に想像できます。
航空管制は、いろいろなステップがあります。羽田に向かってくる飛行機が、日本領域に入ってくると、最初にコンタクトを取るのは所沢の東京航空交通管制部という国土交通省管轄の組織です。ここではレーダー管制と交信によって、飛行機を決められた航空路にのせ安全に羽田に向かわせます。
飛行機が空港管制レーダーの範囲に入ると、所沢から羽田の地下にあるターミナル・レーダー管制室に権限が移行します。ここでも飛行機そのものは目視はしていません。近づいてきて目視できるようになると、ターミナル・レーダー室から管制塔で行う飛行場管制に移る。
どこから向かってくるのか、その時の風向き・風速・天候などによって管制官は適切な滑走路を指定して飛行機に進入を指示し、問題なければ着陸許可を出します。着陸許可された飛行機は、肉眼による滑走路誘導灯の視認と、誘導電波によって降り立ってくることになります。
着陸した後に飛行機が滑走路から外れた時点で、次の着陸機への許可、あるいは離陸機への離陸許可が出るのが理想。短時間で多くの発着をこなすためには、離陸機は着陸の合間を縫ってすぐさま飛び立てる位置について準備している必要があります。
したがって、離陸準備ができた飛行機から、絶えず滑走路端の滑走路外の離陸準備位置まで地上移動して待機させることになります。滑走路に外の機体がいなくなったら最終的な離陸許可が出され、飛行機は滑走路内に進入します。離陸した飛行機は、着陸の場合とは逆に管制塔からターミナル・レーダー室、そして東京航空交通管制部へと順次管制が受け渡されていくことになります。
今回の事故では、飛行場管制から離陸準備位置へ進むように指示された海上保安庁の機体が、完全に滑走路内までに進んで停止したことによって着陸してきた日航機が衝突したことがわかっています。
日航機は全員が奇跡的に脱出できたのに対して、海保機側は亡くなられた方がいるのは大変に残念なことです。死者に鞭打つことは慎みたいとは思いますが、代って管制官側に責任を求めるような論調がメディアに散見されるのは如何なものかと感じます。少なくとも、現在まで公表された事実では管制そのものには誤りはありません。
根本的に海保機が誤進入したことは事実ですから、何故海保機乗員が勘違い(?)したのか、管制官は誤進入に気がつけなかったのか、滑走路監視システムは適正だったのか、さらに羽田の発着数は適正なのかなどさまざまな解決しないといけない問題がありそうです。