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2024年1月28日日曜日
PHEVへの道 25 ブレーキ
エンジンやモーターだけで自動車は成り立つわけではなく、動き出したら止まらないと困る。そのための装置がブレーキと呼ばれるものですが、従来からアクセルペダルと並んで足元に設置してあるフット・ブレーキと運転席と助手席の間のパーキング・ブレーキ、(以前はハンド・ブレーキとかサイド・ブレーキと呼びました)が馴染み深い。
これらの機械的ブレーキは、構造的にはディスク・ブレーキとドラム・ブレーキに大別されます。前者は、タイヤと一緒に回転しているディスクローターを、ブレーキパッドが挟み込んで摩擦を起こして回転を止めるもの。後者はブレーキシューと呼ばれる部品を回転するドラムの内側から押し付けることで止まります。
物理学的には、どちらも車を動かしていた運動エネルギーを摩擦による熱エネルギーに変換することが車の停止という現象につながります。この時生じた熱エネルギーは、基本的にそのまま放出してしまうことになります。
運動エネルギーをモーターの駆動に使い電気エネルギーに変換するというのが回生ブレーキというもので、モーター搭載車で効率的に車を走らせるための重要なポイントになっています。
初めて聞いた時は、回生ブレーキと言われても何のことやら。エンジンブレーキのことかと思ったりもしました。エンジンブレーキは、アクセルを放して出力を絞ると、その時のスピードに対して抵抗力が生じることで発生するもので、フットブレーキを使い過ぎると摩擦熱によりブレーキの利きが悪くなるため、長い下り坂などでは利用が必須の運転技法です。
マニュアル・ミッション車では、シフト・ダウンすることでエンジン・ブレーキがかかるのですが、オートマチック車では一般に利きが弱くなります。しかし、モーター搭載車ではエンジンブレーキに代わって回生ブレーキがより重視されることになります。
走行中にアクセルを放すと、タイヤの回転を使いモーターで発電するというものが回生。物理的なブレーキは、運動エネルギーを摩擦熱として生じた熱エネルギーにして捨てていましたが、回生は運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、発電により運動エネルギーが減少することでブレーキの役割を果たすことになります。回収した電気エネルギーを電池に貯えることで、再び走行するために利用できるというメリットが生まれます。
つまり、充電量を回復させることで航続距離と燃費を向上させ、外部充電量を軽減させることにつながります。またブレーキパッドの摩耗を遅らせ長持ちさせることも利点となります。ただし、電池が満充電の状態では回生ブレーキは使えないことは注意が必要です。
近年、話題になるアクセル操作だけで加速・減速を行なう「ワンペダル走行」は、回生ブレーキを応用するもので、ペダルの踏み替えが無いため、足が疲れにくく踏み間違いの事故を予防できると言われています。しかし、フットブレーキによる制動性よりも回生ブレーキは弱いため注意が必要です。