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2024年1月30日火曜日

PHEVへの道 27 BYD Atto3の通信簿


中国で乱立した電気自動車メーカーで頭いくつか飛び出したのがBYDで、「バイド」と読むこともありますが、正しくは「ビーワイディー」ですし、中国での正式名称は「比亜迪汽車工業有限公司」です。もともとはバッテリーの会社で、2003年に設立、2008年に世界初となるPHEVを発売。日本では2005年に早くも日本法人が設立されていて、2022年からは電気自動車を販売しています。

特に現行のATTO3はヨーロッパを中心に販売が拡大し、電気自動車販売数では昨年はBYDがテスラを大きく上回っています。ただし、日本ではもとから電気自動車への移行は慎重であり、BYDの国内販売台数は昨年1300台ほどで(テスラは5500台)、世界市場のわずか0.04%でしかありません。

現在日本で販売しているのはSUVのATTO3、コンパクトSUVのDOLPHINの2種類で、近日発売予定として高級セダンのSEALがあります。何と言っても、一番の魅力は価格。ATTO3は440万円、DOLPHINはロングレンジ・モデルは407万円、そして通常モデルなら何と363万円です。

ATTO3の諸元を確認します。大きさは、全長・全幅・全高が4455・1875・1615mmでトヨタRAV4より少し小ぶりで、特に全長は短め。車体重量は1750kgで、こちらも電気自動車としては軽めでしょうか。最小回転半径は5.3mで、狭いところでも取り回しは良さそうです。トヨタの電気自動車bZ4Xと比べても全長が短い以外は似たような大きさですが、200kgほど軽い。

WLTCモードの電費は139Wh/kmで合格点。搭載電池容量は58.56kWhで、最大航続距離は470kmですから、よほど過酷な使い方をしなければ十分な性能です。bZ4Xは電費は128Wh/kmで、電池容量は71.4kWh、航続距離559kmですから、性能としては電池が大きい差だけと言えそうです。モーターの最高出力は150kW、最大トルクは310Nmというのも、テスラModel 3にはかないませんが、bZ4Xをやや上回っています。

内装はテスラとBYDは真逆です。テスラは簡素の極みで、運転席に座るとステアリングとアクセルペダル、ブレーキペダル以外はでっかいタブレットがあるだけ。ウインカー・レバーとワイパー・レバーすら無い。すべての操作はタブレットをタッチするだけで、まさにスマート電化製品という感じです。

一方、BYDはスポーツ・ジムをイメージしたというだけあって、いろいろなトレーニング道具をばらまいたようなごてごてとした内装です。飾り気満載で、それが楽しいと思うか、うるさいと感じるかはかなり分かれるところ。

いずれにしても、実用的な電気自動車の選択肢が増えることは悪くはない。もちろん、まだまだ電気自動車の問題点は山積しているので、簡単に飛びつくわけにはいかないのですが、ますます熟成した国産車の登場を期待したくなります。