年末年始診療 12月29日~1月5日は休診します
年内は12月28日(土)まで、年始は1月6日(月)から通常診療を行います
2024年1月8日月曜日
PHEVへの道 11 燃料電池車
トヨタのMIRAI、クラウンセダン、ベンツのGLC F-CELL、ヒュンダイのネクソ。
この4つに共通することは? 答えられる人は自動車の情報に詳しい人だろうと思います。正解は現在入手可能な水素燃料電池車です。外国ではプジョーの商用車もあります。過去にはホンダのFCX、日産のエクストレイルFCV、BMWの760Li、そしてホンダのクラリティなどが発売されていました。
燃料電池車(Fuel Cell Vehicle)は、水素またはエタノールを使って発電しモーターを動かす電気自動車のこと。水素燃料を使ってエンジンを動かすものは、水素自動車と呼ばれ別物。
一般的にFCVは、水素を充填して酸素と反応させて発電します。走行中にCO2は排出せず水しか排出しないため、現状でのカーボンニュートラル実現の最先鋒として期待されています。他にも、ガソリンによるエンジンの倍近いエネルギー効率がある、騒音が少ない、充電が必要ないなどの利点があげられます。
発電するためには水素を充填するわけですが、通常は水素ステーションで補給するわけですが、実用化されたものでは数分で満充填できるサイズのタンクが搭載されています。問題は充電スポットよりもさらに少ない水素ステーションの数。
現在、水素ステーションは全国で157か所。関東は49か所で、そのうち東京に19か所、神奈川に13か所となっています。東京・神奈川とも平野部、特に臨海地域に集中しており、横浜市北部が生活圏の自分の場合、半径5km県内にはまったくありません。確かに充填そのものは数分ですむかもしれませんが、そのために往復1時間近くをかけるというのは躊躇します。
とは言っても、ちょっと前まではもしもFCVを購入したいと思ったら、トヨタのMIRAI一択となる。MIRAIは2014年に発売された、実質的に一般向けに初めて発売されたセダン・タイプ。2020年にフル・モデル・チェンジして現行は2代目になります。ただし昨年11月に、16代目となるクラウン・セダンにHEVと共にFCVモデルが登場しています。
そこで、HEVとの性能差がわかりやすいクラウン・セダンを中心に諸元を確認してみます。
車体重量は、どちらもほぼ2000kgで差はありません。HEVは燃費は18.0km/L、エンジンは直列四気筒の最大出力136kW/rpm、最大トルクは225Nm/rpm、モーターは最高出力132kW/rpm、最大トルクは300Nm/rpmで、トータルでは245PSです。
FCVの性能評価は、まったく概念が異なりどうも単純には理解しずらい。燃費については、充填した水素当たりどれだけ走れるかというkm/kgです。クラウンFCVは148km/kgという国土交通省審査値が示されています(MIRAIもほぼ同じ)。ただし、実際の使用においては100km/kg程度ではないかと考えられています。
水素は1200円/kgくらいなので、理想値としては8.1円/kmで、ガソリン160円/LとするとHEVでは8.9円/kmでわずかに安く済むことになります。また一回の満充填で走れる距離はFCVは820kmで、タンク容量が82LもあるHEVは1476kmと差をつけられました。
動力性能は燃料電池ユニット(FCスタック)と搭載したモーターの能力を合算して考えるようです。クラウンFCV(MIRAIも同じ)のFCスタックは最高出力128kW、モーターの最高出力は134kW/rpm、最大トルクは300Nm/rpmなので、おそらく総合的にはHEVよりはわずかに劣るのかもしれません。とは言っても、優れた加速性と強力なパワーがあることは間違いない。
走行時のCO2排出量は、HEVはディーゼル車並みの129g/kmであまり褒められません。一方、FCVだと・・・ゼロ。なんですが、実は、現状では水素エネルギーを生成する過程でCO2排出がバカにできなくて、それを考えると必ずしもカーボン・ニュートラルの最終解答にはならないと言われています。
クラウンセダンHEVは730万円、クラウンセダンFCVは830万円。MIRAIは726.1~861万円です。やっぱり高いですね。ただしFCVは国からの補助金が、クラウンで136.3万円、MIRAIは145.3万円出ます。だからって易々と買えるものではありませんね。