2024年1月15日月曜日

PHEVへの道 17 安全装備と運転支援


自動車に搭乗している人に対しての安全装備の日々の進化はすさまじい。そもそも元祖ともいえるのは前後のバンパーで、衝突時の衝撃を和らげる働きがあります。今では、デザインとしてボディと一体化しているので、外観上は意識することは少なくなりました。

次に装備されたのはシートベルト。もともとレーシングカーにしかありませんでしたが、一般車向けが登場したのは戦後の事。日本では、1969年以降に装備、1992年に使用が義務化されました。全席義務となったのは2008年のこと。

さらにエアバッグが登場したのが70年代からで、日本では1978年にホンダが初めて搭載した車を発売しました。90年代からほぼ全社で装備され標準化しています。これらのアナログとは別に、車のデジタル化に伴い、搭乗者だけでなく車運用に関わる様々な安全システムと自動運転支援技術が各社から考案・実用化されています。

全部を見ていくのは大変なので、プリウス Z PHEVについて、搭載されているトヨタの先進システムを確認してみましょう。

まず、視界についてはBi-Beam LEDヘッドランプは、一つの光源で格段と明るい視界を確保します。サイドミラーには死角に入った他車や障害物の存在を知らせるブラインド・スポット・モニターのモニターがついています。フロントガラスとドアガラスは撥水機能付きで、最近はバックカメラをつけるのは当たり前になっていますが、レンズが汚れた時の洗浄機能もあります。アダプティブ・ハイビームは、対向車の有無や自転車・歩行者を感知して自動でハイビームとロービームを切り替える優れもの。

システムの肝になるToyota Safety Senseです。もう10数年前から搭載され、どんどん性能に磨きがかかっているのがプリクラッシュ・セーフティ。ミリ波レーダーにより前方の対象物をキャッチしレーダー・クルーズ・コントロールによって適切な車間距離と速度を維持します。車線はレーン・トレーシング・アシストにより中央をキープし、はみ出しそうなときはレーン・ディパーチャー・アラートにより知らせます。

運転席では、ロードサイン・アシストで道路の標識を認識して制限速度、一時停止、Uターン禁止、はみ出し禁止などを表示してくれます。状況によっては赤信号も認識してくれます。ドライバー異常時対応システムとして、ハンドルを一定時間放していると警告し、反応が無い場合には自動で停車してヘルプネットに接続して異常を通報します。

後続車が近づきすぎると教えてくれる後方車両接近告知は、あおり運転に遭遇した時の対策として、場合によっては通報の手伝いをしてくれます。踏み間違い防止には、急アクセルにおける加速を抑制するプラスサポート、駐車時の巻き込みを注意するパーキング・サポート・ブレーキ、駐車位置に自動的に車を移動できるアドバンスト・パーク、衝突された場合に前車への玉突きを防止するセカンダリー・コリジョン・ブレーキどなど。

運転そのものについても、何かに衝突しそうな場合の緊急時操舵支援、交差点進入時に左右から接近する車両など検知し知らせるフロント・クロストラフィック・アラートなどがあります。最新のものとして、特に興味深いのがプロアクティブ・ドライビング・アシストです。これは運転状況による事故のリスクを先読みして、周辺の歩行者や先行者などの動きに対応したハンドル操作、ブレーキ操作をサポートするもの。

もうあまりにも機能がありすぎて、とても把握しきれません。以前の車だと高速での時速80km/Lくらいの手放し運転が可能でしたが、今は手を離してはいけないと警告されます。この辺りは「退化」ではなく、まだ安全な自動運転は確立していないということ。どんなに便利で安心な機能があっても、安全を守るのはドライバー本人であることを忘れてはいけません。