2024年1月13日土曜日

PHEVへの道 15 自動車の電気代


電気料金はどのくらい支払っていますか。一般的な家では、1~1.5万円くらいは毎月かかっていると思いますが、地域や使い方によって、かなり差があるのでなかなか簡単にはわかりにくいところだと思います。

全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している「新電力料金目安単価」では、1kWhあたりの平均的な電気代は31円です。とは言っても、kWhという単位が何を意味しているかよくわからない。

電化製品を動かすために必要な電力を表す単位がkWですが、その電化製品を1時間使用するのに必要な消費電力量がkWhということになる。例えばテレビは、だいたい200~250Wくらいなので、4時間付けっ放しにしていると0.8~1kWhで電気代は30円前後かかるということ。強力なヘアドライヤーは1500Wくらいになりますので、10分間使用で7.8円。400L・250Wの冷蔵庫は24時間使い続けているので、1日で6kWhとなり186円です。

このように例をあげていくと、何となくイメージが湧いてきます。本題の電気で走る車の電気代はどうなっているのでしょうか。

電費と言われる性能評価では、1kWhの電力消費で6km程度走れるというのが標準的な数字で、1km走るのには0.167kW必要。ということは、6km走るのに31円、1km当たり約5円です。東京から名古屋まで電気だけで往復すれば約800kmで4000円です。これはあくまでも家庭の電気を使った場合ですから、途中で充電ステーションなどを利用すればもう少し費用は高くなります。

ガソリン車で燃費10km/Lの場合は、単純に考えれば80Lのガソリンが必要ですから、ガソリンが160円/Lだとすれば12800円(16円/km)。ハイブリッド車で燃費20km/Lなら6400円(8円/km)。いずれも電気だけで走れればかなり安くなると考えられます。

PHEVの場合は、電気だけで走れるのは50~100kmで、燃費はHEVよりやや落ちますので、長距離移動の場合はHEVとあまり差は出なさそうです。市街地の場合は話が違います。PHEVはそれなりに充電していれば、ほぼ電気だけで日常的な運用は可能になりますので、ガソリン車やHEVよりも優位性がはっきりします。

家庭での充電にかかる電気代はどのくらいでしょうか。プリウスPHEVの場合で考えてみます。カタログ値としては、200V・16Aで満充電にかかる時間は4時間30分となっています。オプションとしては100V・6Aも可能ですが、この場合は39時間以上と言われています。

電圧V×電流A=電力Wなので、200V・16Aは3200W(3.2kW)です。4.5時間だと14.4kWhとなり、電気代は446円かかることになります。満充電で走れる距離はカタログ値で87kmなので、これで計算しても1km当たりに5円で、電費で計算した数字と同じ。

例えば、毎日往復20km程度を走るならば、プリウスPHEVなら4日に一度満充電にすればよいので、月に7~8回の充電で電気代は3000~3500円/月。ガソリン車なら9600円/月、HEVでは4800円/月。

忘れてはいけないのが、充電用のコンセントを新たに設置する費用。3年間車を使うと充電回数は約270回、5年間なら450回です。200Vコンセントは工事費込みで最大10万円くらいかかりますので、充電1回当たりの工事にかかった費用の上乗せは、3年なら370円/回、5年なら220円/回なので、おそらくHEVのガソリン代とあまり変わらなくなるかもしれませんね。

どこの電気会社を使っているか、どの地域に住んでいるか、契約の仕方はどうなっているかなど、多くの要素によって変動はありますし、そもそも車がカタログ値どうりに走るとは限りませんから、あまり細かい数字を追っかけても意味はありません。大雑把なとらえ方をするなら、PHEVの場合は日常的な使用においては、EV走行を上手に使えばHEVやガソリン車のガソリン代よりはある程度は安くできるということになります。