2022年3月28日月曜日

フリコ


フリコ fricoは、これ以上簡単なレシピは無いというくらいのもの。日高シェフは「チーズとじゃがいものカリカリ焼き」という呼び名で紹介していますが、北部のフリウーリ地方代表的な郷土料理です。

チーズだけを揚げて作るものもあるようですが、ここではじゃがいもと合わせることで外はカリカリ、中はモチモチという絶妙な食感でお酒のおつまみにも、こどものおやつにもばっちりです。

材料はスーパーによく売っているピザ用のミックス・チーズとじゃがいもだけ。調味料もいりません。

串が通るくらいに茹でたじゃがいもを摺り下ろします。同量くらいのチーズをいれて混ぜたら、フライパンに入れてゆっくり焼いていくだけ。チーズからじわじわと油が出るので、焦げ付かないフライパンなら油もいらない。チーズに塩気があるので、味はそれだけでOK。

最初はバラバラですが、チーズが溶けてくるとしだいにまとまってきます。焦げ目がついてくるくらいになると、うまくひっくり返すことができるようになります。ひっくり返すのに失敗しても大丈夫。まとめていけば、それなりに一塊になってきます。両面が美味しそうな焦げ目がついたら出来上がり。

今回は、イタリア感を増やすために、バジルの葉をみじん切りにしたものを一緒に混ぜました。また、玉ねぎのみじん切りを少しだけ入れておくと、さらに美味しくなります。温かいうちが食べ時ですが、冷えてしまったらもう一度フライパンで温め直すのがお勧めです。

じゃがいもを茹でるのが面倒なら、電子レンジでチンでも構わない。それも面倒なら、生のまま摺り下ろしても大丈夫です。ただし、その場合は水が出るので、ある程度捨てておいた方がまとまりやすくなります。

2022年3月27日日曜日

プレア・ディ・ズッキーネ


プレア(purea)は、野菜・果実などをすりつぶして滑らかなペースト状にしたもので、普通に言ったらピューレのこと。ズッキーネ(zucchine) は想像通り、日本ではズッキーニと呼んでいるウリ科のカボチャの仲間。一見、キュウリに似ていますが、一緒なのはウリ科まで。

料理と言うより、これは料理をおいしくする裏方みたいなもの。日高シェフのレストランは、その下に川合大輔さんと直井一寛さんの二人のシェフがツートップで仕切っています。このレシピはその二人がネットで紹介していたもので、素材の味を大事する見本みたいな物。

例によって、レシピはいたってシンプル。

容器にスライスしたズッキーニを入れて、ラップして数分間チンします。柔らかくなったら、スプーンやフォークなどで潰して、塩で味を整え、オリーブオイルを混ぜたら出来上がり。

ブレンダーなどで一気に潰してもいいのかもしれませんし、最初から摺り下ろしてから作るという作戦もありかなと思ってしまうのは素人の浅はかさ。多少ツブツブ感が残った方が、風味と食感が良くお勧めだそうです。

さて、お味は・・・バケットに乗せて食べたい感じ。シンプルですから、シンプルな食材と合わせるのがgoodな感じでしょうか。

ただ、ちょっと青臭い感じが残るので、もう一度温めてから、パルミジャーノ・チーズを振り入れて混ぜ合わせてみました。当然のことながら、全体がまとまりやすくなり、味も格段にアップした感じです。

2022年3月26日土曜日

インサラータ・ディ・カラマリ・エ・パターテ


本来はInsalata di polpo e patateとなるところですが、見ての通り今回はInsalata di calamari e patateです。Insalataはサラダ。diは英語の「of」で、eは「and」です。そして、patateはポテト、polpoがタコで、calamariはイカ。

日高シェフが、自身のYouTubeの第一弾で紹介したのが、タコとじゃがいもの温サラダでした。なかなか初々しい映像が楽しめますが、せっかくなので再現しようと思ったんですが、ちょうどタコは冷蔵庫にありませんでした。

そこで、冷凍してあるヤリイカ君の登場。まぁ、風味は違いますが、雰囲気は出るでしょうし、味もそんなに問題はないだろうということで・・・

じゃがいもは串が簡単に通るくらいに茹でておく・・・んですが、今回は電子レンジでチンです。ビニール袋に水を少々入れて、中くらいじゃがいもを2個、500Wで5分くらい。

フライパンにオリーブオイル、ニンニク、鷹の爪の黄金トリオをいれ、皮をむいて一口大に切ったじゃがいも入れて炒めます。続けて適当に切ったイカも入れて、塩胡椒で味を決めます。みじん切りのイタリアン・パセリをパラパラと入れて完成。

イカをタコに変えれば日高シェフのレシピ通りです。食べてみると、イカでもまったく問題なく美味しい。まずいはずがない。

スペイン料理でも定番の一つに「タコとじゃがいものガリシア風」というのがありますが、茹でたじゃがいもとタコのぶつ切りをオリーブオイルと塩胡椒で和え、上からパプリカ・パウダーを振った物です。ほとんど似たような料理ですが、タコの旨味は炒める方がじゃがいもに移り美味しくなるように思います。

2022年3月25日金曜日

カポナータ


夏野菜を中心に一口大に切って煮込んだラタトゥイユという料理がありますが、これはフランス料理とされています。イタリア料理のカポナータは、シチリア島を中心に広まった、ラタトゥイユと同じような材料を使うイタリアの野菜の煮込み料理です。

両者の違いは、一言で言えば、全部まとめて煮込んじゃうのがフランス。イタリアは少なくとも茄子は素揚げにするし、味を作るときにワインビネガーの酸味と砂糖の甘味を加えます。

そのまま出来立てを食べても、冷えてから食べても、あるいはパスタのソースとして食べても美味しい野菜料理の万能選手です。日高シェフは、マグロのステーキの下に敷く付け合わせてきな料理として紹介していました。そのせいか、一般的にネットなどで紹介されているものと多少違っていそう。

今回は、多数決に従って、最大公約数的な作り方をしてみました。

使ったのは、ナス、セロリ、ズッキーニ、パプリカ(黄)、玉ねぎ、マッシュルーム、ミニトマトです。野菜は1cm角程度に切ります。本来ならナスは素揚げにするところですが、大量の油を消費するのがもったいないので、フライパンで全体に焦げ目がつくように炒った感じ。オーブンで焼き色をつけるという方法を紹介している人もいます。

鍋にオリーブオイルとニンニクです。続いて玉ねぎ、さらにセロリという具合に追加して炒めていきます。後は、残りの野菜を入れて炒め、トマトが入ると水が出てくるので、そこで焦げ目がついたナスを入れる。

適当な味になるように塩を振り入れたら、カポナータとして大事なワインビネガーと砂糖を好きなだけ入れます。自分の場合は、ナス3本で作ってビネガーは大さじ2杯、砂糖は小さじ1杯程度です。後は5分程度煮込めば出来上がりです。

正直に告白すると、セロリとかズッキーニは苦手な方なんですが・・・まったく問題なく美味しく食べることができました。確かに、そのままパスタに絡めてもかなりイケてる感じです。これにソーセージを加えてもい感じだし、好みに応じてバリエーションはいろいろと思いつきそうです。

2022年3月24日木曜日

塩味の話


どんな料理も、味の基本中の基本が塩味。塩に対する理解は、作る上でも食べる上でも大切なことです。

そもそも塩って何?・・・塩化ナトリウムで、化学式だとNaClです。人に限らず生物にとって、生きていくために無くてはならないミネラル。もちろん、取り過ぎは健康に良くはありません。

料理に使われるのは、一般に食塩と呼ばれますが、基本的には塩化ナトリウムそのもの。ただし、自然界のさまざまな別のミネラルを微量ですが含んでいることで、食塩によって微妙な違いが生まれてきます。

工業的に作られる物は精製塩と呼ばれます。主として輸入された塩を一度水に溶かした後に純度を高く精製したもの、あるいは海水をイオン交換膜透過法で濃縮して作り、99%以上の塩化ナトリウムです。

もう一つが自然塩。いろいろな成分が混入しているため、塩辛さは減り(甘味を感じる)旨味が増えますが、別の言い方をすれば雑味が強い。

代表的な自然塩の原料は海水。海水には水以外の成分が3.4%含まれ、このうち塩化ナトリウムは2.8%を占めています。残りの0.6%は塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムなどで、大きな意味では「塩分」と呼ぶことができるものです。

代表的な製法は天日塩(てんぴえん)と呼ばれ、海水を塩田にまいて水分を蒸発させたもの。ただし、日本のような雨の多い気候では難しく、すべての天日塩は輸入品と言われています。日本で作られるものの多くは精製塩ですが、歴史的には主として海水を釜で煮詰める煎熬(せんごう)方法が取られてきました。さらに高温で煎るものは焼き塩と呼ばれます。

昔、海だった場所に閉じ込められた海水が結晶化したものが岩塩(がんえん)です。岩塩には塩化ナトリウム以外のミネラル分がより多く含まれ、特にインド、パキスタン、ネパールなどで採取されるピンク色のものが手に入りやすい。ヒマラヤ山脈で採取される物は、色が濃くなり希少な物とされています。他にもアンデス山脈やモンゴルなどで産出される物もあります。

ビーズ状に砕かれたものはミルで崩しながら使いますが、使って楽しい反面、粒子が大きい分思った以上に味が濃くなってしまいやすいので注意が必要。一般に岩塩は、塩辛さが強めで、いろいろなミネラルによって味も違って来るので、料理を選ぶかもしれません。

陸地に閉じ込められた海水が結晶になる前の水だった状態なのが、いわゆる塩湖というもので、塩湖はカスピ海(東ヨーロッパ)、バルハシ湖(カザフスタン)、グレートソルト湖(アメリカ・ユタ州)、死海(イスラエル)、ウユニ湖(ボリビア)などが有名。この湖水から作られるのが湖塩で、海水塩と岩塩の中間的な位置にあります。

塩にハーブやスパイスを混ぜてある物はフレーバー・ソルトと呼ばれ、シンプルに黒胡椒やニンニクと合わせたものはよく見かけます。より匂いが特徴的な物としては、山椒、柚子、そしてトリュフなどもあります。いろいろなハーブ類が混合され万能調味料として便利なクレイジー・ソルトという商品も有名。

さて、自分のレストランでも使用していて日高シェフのお勧めは、クリスマス島の天然海水による天日塩です。クリスマス島をネット検索するとオーストラリアに属する島がヒットしますが、塩で有名なのは太平洋のほぼ真ん中付近、キリバス共和国の島で、発音に近いのはキリスィマスィ島です。キャプテン・クックがクリスマス・イブに上陸したので命名されたということらしい。

日高シェフが、「ちょっと塩」と言いながら、けっこうたくさん塩を振りかけている感じがして気になっていたんですが、実際に使ってみるとかなり優しい塩味でなるほどと思いました。太陽の光でひたすら濃縮させ、一切の精製作業が入っていないのに、この完璧なまでの白さにちょっと感動します。

2022年3月23日水曜日

イタリア・ワインの話 1 格付け


美味しい料理には美味しいワイン、というのは西欧の食文化の基本みたいなところで、多少なりともワインの勉強をしておかないと楽しみが半減してしまいます。

ワインと言うとフランスという感じがしますけど、生産量はイタリアが上。歴史も古いのですが、イタリアはワインを格付けしてアピールするのが遅れたためフランスに立ち遅れたようです。


イタリアは国を挙げて食文化を守る姿勢が顕著で、1963年のワイン法によってワインに対しても厳格な格付けが行われるようになりました。現在は、この法律は2008年に改正され、新旧両方の呼称が混在しています。

Aランク 保護原産地呼称ワイン
D.O.P. (Vino a Denominazione di Origine Protetta)
旧ランクのD.O.C.G.とD.O.C.を統合したもの


旧ランク1 統制保証付原産地呼称ワイン D.O.C.G. (Vino a Denominazione di Origine Controllata Garantita)
5年間以上D.O.C.として認可されたものが、さらに国も加わった厳しい審査で選別された最上級ワイン

旧ランク2 統制原産地呼称ワイン
D.O.C. (Vino a Denominazione di Origine Controllata)
すべての生産過程(生産地、栽培方法、ブドウ品種、最大収穫量、最低アルコール度数、熟成方法など)が商工会議所に厳格に審査されたもの

Bランク 保護地理表示ワイン
I.G.P. (Vino a Indicazione Geografica Protetta)
旧呼称 地域特性表示ワイン I.G.T. (Vino a Indicazione Geografica Tipica)
生産地の名称が表記され、その地域のブドウを85%以上使用

Cランク 地理表示無しワイン Vino
旧呼称 テーブル・ワイン V.d.T. (Vino da Tavola)
特別な規定に縛られていないもの


基本的には産地に重点が置かれた格付けですが、一般にはD.O.P.が高級とされています。D.O.P.あるいはI.G.P.を確認して選んでおけば、はずれは少ないと考えて良さそうです。ただし、特にトスカーナ産のワインには、これらの規格にこだわらない上質なものが多く存在することが知られています。

もう一つワインで問題になるのは、ブドウの品種です。ワイン素人の自分としては、白ならシャルドネかソーヴィニョン、赤ならメルロかピノ・ノワールくらいしかわからないし、それってほとんどフランスのワインの話。イタリアについてはとんと知らないというから情けない。

イタリアは全土がブドウ栽培に適した土地・気候なので、イタリア固有のブドウにフランスから入ってきた品種も含めて多種多様のようです。

赤ワイン用としては北部中心に栽培されるバルベーラとネッビオーロ、中部中心のサンジョヴェーゼ、南部中心のアリアニコなどが有名品種。白は北部がピノ・ビアンコ、全土で栽培されるマルヴァジア、モスカート、トレッビアーノなどなどとなっています。

ワイン通ならいつまでも語り尽くせないくらい、いろいろな蘊蓄があるんでしょうけど、まぁ財布と相談しながら、自分好みの味を見つけられればいいんじゃないでしょうか。

2022年3月22日火曜日

アリ・アラ・グリッリア


すみません。適当に料理の名前を付けちゃいました。

本当は、ちゃんとしたものじゃなくて、バルサミコ酢のソースがあまりに美味しいので、たまたま冷蔵庫に残っていた鶏肉の手羽中を炒めて、バルサミコ酢をじゃんじゃんかけて絡めてみただけ。

手羽のことをアリ(ali)、何とか風というのがアッラ(alla)、そして焼くこと、つまりグリルがグリッリア(griglia)ということで、勝手なイタリア語で、間違っているかもしれません。

とは言っても、手羽肉は軽めの塩胡椒で、ニンニク+オリーブオイルで、まじめにフライパンで焼きました。中に骨があるので、転がして面を変えつつ丁寧にやらないといけません。

だいたい全面に焦げ目がついたところでバルサミコ酢。焼きながら絡めたので、自然と煮詰まって濃厚なソースと化していきます。

想像にたがわず、これが超絶美味しい。調味料としてのバルサミコ酢の実力たるや、相当なもんです。

どんな食材でも、いつもの味に飽きたら是非使ってみるというのは有りですね。

2022年3月21日月曜日

タリアータ


牛肉のステーキのイタリア流の食べ方がタリアータ(tariata)。タリアータはステーキの薄切りという意味。やることはすごく簡単で、ステーキを焼いてバルサミコ酢のソースをかけるだけ。今回は、日高シェフより一世代上のイタリアンの巨匠、片岡譲シェフの動画を参照しました。

大事なのはステーキの焼き方。高級な霜降り肉だろうと、安売りの赤身肉だろうと、原則は共通。一般的には冷蔵庫で保管しているので、冷たいまま焼くと中まで火が通る前に外が黒焦げになってしまいます。通常は冷蔵庫から出して1時間くらい待って常温に戻すのが基本。冷凍していた肉の場合は、まず冷蔵庫に移して半日以上かけてゆっくり解凍します。

塩を振ると、肉内の水分が旨味を伴って出始めます。ですから、塩を振るのは焼く直前でOK。場合によっては焼いてから振るというのもありです。加熱して筋肉繊維が縮まるので、何か所かに繊維方向に直角の切れ込みを入れておきます。自分は、フォークでぶすぶす刺して筋繊維を切るというのをやってましたが、これは肉汁の出口を作るだけで推奨されません。

油を入れたフライパンは、できれば煙が出るくらい高温にしておきます。肉は加熱をするとたんぱく質が固まり噛み切ることができます。ところが、65℃を超えると急激に硬くなって身が締まり、かつ旨味の肉汁が外に出始めてしまいます。

ですから、まず高温で表裏をいい具合に焼き色が付く程度に焼いて(側面も忘れずに)、肉汁を中に閉じ込めたら、肉は火から下ろしてアルミホイルなどで包みます。焼いている時間は肉の厚さにもよりますが、レアが良ければ各面数十秒~1分程度。

後は余熱で、数分~10分間程度かけて中心までゆっくり火を通します。片岡シェフは、焼いたフライパンにくしゃっとさせたアルミホイルの台を置き、その上にアルミホイルごと焼いた肉を乗せ蓋をしていました。

さて、これだけでも十分に美味しいビーフ・ステーキが焼けたところで、イタリア料理らしいソースを用意します。ここで登場するのがバルサミコ酢。高級なものなら最初からソースとして使えるトロミがあるらしいのですが、安いものはサラっとしているので煮詰める必要があります。沸騰させてツンとする酸味を飛ばしつつ、半分くらいの量になるとめちゃめちゃ旨い。

完成したステーキは食べやすい大きさに薄切りにします。ここがタリアータと呼ぶところ。薄切りと言っても、5mm~1cmくらいはあったほうがステーキらしい。少し斜めに切るとオシャレです。皿に並べたら、バルサミコ酢ソースをサッとかけまわし、バルミジャーノ・チーズを振りかければ完成です。

薄切りにするので、焼き方さえ間違わなければ安い肉でも問題なし。めちゃめちゃ美味しくて、久しぶりに肉を食べたぁ~という感覚になりました。

2022年3月20日日曜日

ポッロディアボラ


イタリア料理のポッロディアボラ Pollo al diavolo は「鶏肉の悪魔風(ヘブライ語で悪魔はディアポロス)」という意味で、基本的にローズマリーとニンニクの風味を加えて、鶏もも肉をソテーしたもの。皮をパリパリにすることで、食感が増して大変旨い・・・のですが、これだけだと簡単過ぎてちよっとつまらない。

いろいろネットを探すと、フランス料理としても鶏肉の悪魔風というのがあった。こちらはプーレ・ディアブルと呼ばれ、ポッロディアボラをさらに進化させた感じ。イタリアから伝わった料理を、フランス人が精錬したということでしょうかね。

そもそも「悪魔風」というのは何だ? という感じですが、ポッロディアボラの場合は、鶏を丸ごと開くとマントを広げた悪魔に見えるからという説もあったりします。中には唐辛子などで業火の中で燃える悪魔を表現したものもあったらしい。フランスでは後者が、マスタードで上品に仕上げる仕様に変化して成立した感じです。

さて、鶏肉を焼きます。フライパンにオリーブオイル、ニンニクの香りを出したら、軽く塩胡椒した鶏もも肉を入れます。基本として忘れてはいけないのは、皮面から焼くということ。少し上から押さえながら、まずは皮面全体がパリパリになるまでしっかり焼いていきます。ひっくり返して反対の面も焼いていきます。

もうこれだけでも十分に美味しいのですが、一度肉は取り出します。そして、皮面にたっぷりのマスタードを塗り広げる。本来は、殻を除いて白ワインを入れ滑らかにしたディジョンマスタードを使うのですが、うちの冷蔵庫にあったのは粒入り。まぁ、良しとします。少しだけウースター・ソースを入れて使いました。

フライパンには鶏肉から出た汁と油が残っていますが、捨ててはいけません。ここにパン粉を入れて汁を吸わせます。このパン粉をマスタードの上にびっしりと敷き詰め、オーブンまたはトースターでパン粉の表面に焦げ目がついたら出来上がりです。

イタリア色を出すために、パン粉はローズマリー、セージ、イタリアンパセリなどを混ぜた香草入りにしました。それと、実は食べる時のことを考えて、マスタードを塗る前に肉を一口大にカットしてあります。

いやいや、めっちゃ美味しい。マスタードはそれほど辛くないので、たくさん使っても問題ありません。さぁさぁ、どんどんお食べという悪魔の囁きが聞こえてきそうです。

2022年3月19日土曜日

ブロデッタート


ブロデッタートという料理は調べてみると、いろいろな説明が出てきて、ちょっと混乱します。ここでは日高シェフの説明だけに集中して、本来は子羊の肉を卵黄のソースで絡めたものと理解しておきます。

正確にはAgnello brodettato (子羊のブロデッタート)と呼ばれ、ブロデッタートはだし汁(ブロード)で煮た料理という意味。実際には、煮汁を卵黄とレモンでつなぐ(フリカッセーア)のが特徴で、子山羊なども使われるらしい。

羊は癖があって苦手という方がよくいますが、それは成長した羊の肉でマトンと呼ばれているもの。子羊肉はラムと呼ばれ、臭みはなく食べやすい。さてスーパーに行くと、あったとしてもジンギスカン用の肩の薄切りか、ラム・チョップ用の骨付バラ肉。この料理に向いているサイコロ・ステーキのようなラムはほぼ見かけることがありません。

そんなわけで、日高シェフが代替えとして、牛肉の赤身のステーキ肉を使ってくれているというのは大変嬉しい。これだったら、比較的簡単に安価に雰囲気を味わえるというものです。

とりあえず、塩胡椒して牛肉ステーキは簡単に焼きます。この後にさらに火を通すので、多少レアでも問題はありません。また、一口大に切るので、硬さもあまり気にしないで済むというのも助かります。

次に大事なソース。イタリア料理にしては珍しい比較的厚めにスライスした玉ねぎを、焼いた肉を取り出したフライパンで炒めるところから始めます。続いて細かく切った生ハムを一緒に炒めます。

ここでも生ハムは塩味と旨味の調味料という扱い。ある程度火が通ったら、全体が浸る程度の白ワインを入れて煮込む。ある程度煮たら、日高シェフはブイヨン・スープを追加しています。

くず野菜とかから、塩味のないブイヨンを自作している方はいいんですが、市販の固形ブイヨンだと塩がけっこう入っています。ここで味見してみるとしっかり塩味があるので、今回は見送りました。

焼いたステーキ肉を、食べやすい大きさに切ってフライパンに戻し一緒に煮ていきます。水気が少なくなったら、火を止めて溶いた卵黄とナツメグとレモン汁を入れてよく混ぜたものざっと混ぜ合せて出来上がり。

200gくらいのステーキ肉1枚に対して、卵黄2個、レモン汁大さじ1くらい使ったんですが、全体のソースが多くなってしまいました。また塩味は生ハムだけなんですが、もともとショッパイので今回はちょっと入れすぎた感じ。生ハムの塩味は製品によってけっこう違いがあるので、いつも同じものを使って自分で味の濃さを知っていることが必要そうです。

2022年3月18日金曜日

サルティンボッカ


何となく聞いたことはあったけど、どんな料理か知らなかったのが、イタリア語で「口に飛び込む」という意味のサルティンボッカ。イタリアの代表的な肉料理の一つと言ってよそさうです。

本来は子牛肉を薄く叩き伸ばして使う料理ですが、日高シェフは豚の生姜焼き用の薄切りロース肉を使ったレシピを紹介しています。確かに一般家庭では手に入りやすい材料なので、豚肉の方が作りやすい。ただし、今回は、本来の味を知りたくて、すき焼き用の牛肉を使ってみました。

ポイントはセージ。セージは肉料理に相性が良いスパイスとして今までにも使っていましたが、これがサルビアのことだとは知らなかった。セージの葉をそのまま間に挟んで、薄い肉と生ハムをサンドイッチにして一緒に焼くというもの。

セージの葉は、スーパーによっては売っていないことはないんですけど、なかなか手に入りにくい。そこで、普通の粉末のスパイスになった物を使いました。代わりに間に挟んだ葉物はベビーリーフです。

生肉と生ハムは焼いているうちに離れてしまうのではないかと心配したのですが、日高シェフの教え通り、最初に包丁の背でトントン叩いておくだけで、意外にはがれないものですね。

生ハムだけで塩味がけっこうあるので、特に追加の味付けはいらない感じです。お好みで胡椒を振ってもOKです。肉を焼いた後のフライパンにバター、白ワイン少々、レモン少々を入れて煮詰めたものをソースとして上からかけました。

すき焼き用はかなり薄いので、もう少し肉に厚みがあった方がよいかもしれません。そういう意味では、生姜焼き用の豚肉はちょうど良さそう。

それにしても、生ハムは肉を食べるための調味料という扱いには驚かされます。値段高めの生ハムは、基本的に生で食べる物というような思い込みがありました。そういえば、カルボナーラのパンチェッタも調味料ですし、そういうところがイタリア料理の面白いところなのかもしれませんね。

2022年3月17日木曜日

ニンニクの話


イタリア料理にはまってみると、やたらとニンニクを消費しているような感じがして、最重要食材の一つのように思ってしまいます。ところが、日高シェフが若い時、イタリアでの武者修行で、日本人的に普通の量のニンニクを使ったまかない料理を作ったところ、こんなもの食べられないと怒られたという逸話があります。

つまり、主としてニンニクを使うのはイタリアの中でも南部地域で、基本的には香りづけとして用いるもので、ニンニクの味そのものを楽しむというのはほとんどありません。北部ピエモンテのバーニャ・カウダは、ニンニクがメインのかなり例外的な郷土料理です。

日本のニンニク味バリバリのペペロンチーノは、日本向けに特化した味付けということです。とは言え、イタリア料理の味のベースになる大事な調味料みたいなものですから、ちゃんと利用することが大事。

そもそもニンニクとは・・・そんな大袈裟に構えることも無いのですが、英語でガーリック(garlic)、フランス語でアイユ(ail)、そしてイタリア語だとアッリオ(aglio)です。漢字だと大蒜(おおひる)となり、ヒガンバナ科ネギ属の植物で、茎も食用にしますが、一般に料理に使用しているのは球根の部分。

インド、中国、韓国料理でも重要な食材で、もともとは中央アジアが始まりらしい。紀元前から、主として肉食文化と共に世界中に広まりました。日本では、外からの軋轢を耐え忍び自分自身の欠点も認めるという仏教用語の「忍辱(にんにく)」が語源とされ、香り高い青森県産が有名でます。

一般にニンニクを食べると元気になる、と言われることが多いのですが、科学的な確証ははっきりしない。少なくとも、ビタミンB6と、ビタミンB1吸収を促進するアリシンをたくさん含んでいることから、何らかの健康増進効果が期待できることは間違いない。

本来無臭のアリインが、細胞が壊れた時にアリシンに変化し空気に触れて酸化すると、あの独特の臭いのもとになります。体臭としては個人差はあるものの、半日くらい残ると言われています。牛乳のたんぱく質や緑茶のカテキンは防臭効果が期待できるので、注意したい方は先に飲んでおくと良いと言われています。

イタリア料理の話に戻ると、基本的な使い方はニンニクの一片を、大まかに潰すか、スライスするか、あるいはみじん切りにして、オリーブオイルを入れたフライパンに入れます。

なお、中心に芽が出始めていたら、苦みの原因になるので取り除いておきます。料理に混ざって構わない時はみじん切り、残したかったら荒く潰した使い方が良い。

この時まだ火はついていないことが大事。ゆっくり過熱していくと泡が出始め、ここでニンニクの旨みがオイルに移っていきます。焦がしてしまわないように注意して、火を止めるか、次の食材を入れます。

日高シェフは、あらかじめみじん切りにしたニンニクをオリーブオイル漬けにしておくことを勧めています。毎日のように使うわけではないので、みじん切りのチューブのニンニクも売っているので使いやすいかもしれません。

2022年3月16日水曜日

酸味の話


酸っぱい調味料なら、日本では主として米から作る穀物酢が一般的で、特に玄米から作る黒酢は何かと人気があります。また、すだち、ゆずなどの柑橘系の柔らかい酸味が料理には使われます。

何しろ酢は、人類が作り出した最古の調味料と言われていて、紀元前5世紀ごろから存在していたらしい。西欧の酸味といえば、ワインから作られるワイン・ビネガーとバルサミコ酢が代表的なもので、柑橘だと圧倒的にレモンということになります。

基本的には、穀物や果実の中のアルコールが、菌の作用で酸素と結合して生じた、酢酸(さくさん)が食用酢となります。ブドウから作られるワインは、古くなると酸っぱくなることから、最も身近な酢の原料として使われるようになりました。

ブドウの果汁をアルコール発酵させたのがワインで、さらに酢酸菌を入れてさらに発酵を進め、数か月程度の熟成によって作られたのがワイン・ビネガーで、フランス発祥。

米酢と似たような用途で使われる一般的な酢で、ワインと同じで赤と白があります。白は野菜サラダのドレッシング、マリネ、カルパッチョなどで活躍し、渋さが増す赤は煮込み料理などに使われます。

バルサミコ酢はイタリア発祥で、原料がブドウというのは一緒。ただし、ワイン・ビネガーと違い、絞り出した果汁を煮詰めて濃縮してから樽で発酵させるもので、その期間は数年から数十年にも及びます。

エミリア・ロマーニャ州のモデナまたはレッジョ・エミリアで作られ、かつ12年あるいは25年以上寝かせたものは高級品としてトラディツィオナーレ、特に25年以上は、別格としてストラヴェッキオと呼ばれます。

Amazonで手に入る30年物のストラヴェッキオは100mlで29,480円、40年物になると40mlで21,600円という具合で、ネットを探すと100年物で68gで54,000円なんてのも見つかります。さすがに超高級レストランを除くと、とても一般向けとは言い難い。

でもって、一般向けは熟成期間が6年~10年くらいのもので、酸が目立つためバルサミコ・ビネガーという呼ばれ方もある物。値段は急に下がって、200円/100mlくらいから、高いものでも1,000円/100ml程度。ただし、中には混ぜ物があったりするので、品質を保障するモデナIGPの表記があるものを選べば、間違いがありません。

自分が使うのはワイン・ビネガーはGrosoliの白で500mlで400円くらい。バルサミコ酢は同じくGrosoliの赤で250mlで約1000円です。一応、コストパフォーマンスが良いと評判のオーガニック専門のAlce NeroのモデナIGPも買いましたが(500円/250ml)まだ使っていません。たまたま安売りスーパーで見つけた、タマノイ酢の400円/250mlでもまぁまぁでした。

2022年3月15日火曜日

バルサミコ酢でカルパッチョ


塩と胡椒だけではパンチが足りない感じがするので、何かしら酸味を加えた方がカルパッチョがキリっと締まる感じがします。そもそも、サラダ・ドレッシングなんかでも、酢が入っている物が多いですよね。

そこで使うのは、白ワイン・ビネガーとかレモン汁が多いのですが、もう一つ忘れてはいけない酸味調味料でバルサミコ酢があります。一般的にワイン・ビネガーというと白、バルサミコ酢と言うと赤というイメージ。

白のバルサミコ酢もあることはあるんですが、一般家庭で両方揃えても使い道に困ってしまいそうです。でも、ネットではけっこう赤のバルサミコ酢でカルパッチョを作るのを紹介していたりします。

この前使って余っていたヒラマサを並べました。バルサミコ酢のソースは、そのものの味をシンプルに味わって見たくて、バルサミコ酢と塩・胡椒・オリーブオイルだけにしています。

確かに見た目は油田でも見つけたかのような感じで、あまり見栄えはよろしくない。

食べてみると・・・あ~、そうなんだ。酸味もありますけど、どちらかという甘味が目立つ感じ。確かにこれはこれでアリ。ただし、エッジの効いた酸味を期待するなら、バルサミコ酢は少な目にしてレモンとかを追加するのもよさそうです。