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2008年5月25日日曜日

ソナタ


予告通り、はまってます。ベートーヴェン。人生半分を確実に過ぎて、いまさらこんなに素晴らしい音楽に気がつくとは遅すぎだろうと言われてしまいそうですが、ベートーヴェンのピアノ・ソナタはいい。本当にいいです。

ピアノを弾く方の間では、バッハの平均律クラヴィアをピアノ演奏の旧約聖書、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ32曲を新約聖書と呼ぶのだそうです。

バッハはチェンバロのために曲を書いていて、鍵盤が2段に分かれていて、さらに弦をひっかくことで音を出す構造上から強弱がつけられません。

それに対してベートーヴェンは今のピアノの元型となったフォルテピアノを対象にしているそうで、しかも楽器の限界を気にせず、自分の思うがままに作曲をしたそうです。当時は作曲者で、かつすぐれた演奏家だった本人にしか演奏できなかったと考えられています。

バッハの時代は、対位法という右手と左手で別々のメロディを弾いて音をつむいでいくような曲が主流でした。その後ハイドン、モーツァルトなどを経て、和声という概念が確立し、より情感的に豊かな響きの演奏がされるようになったとか。そこで、確立されたのがソナタ形式。

今まで、楽器独奏(またはピアノ伴奏つき)の曲をソナタと呼ぶのだと思っていましたが、確かにソナタというのはそれでいいのですが、ソナタ形式というのは提示部(主題)-展開部-再現部という、いわゆる起承転結で進んでいくことなんですね。それ対して、もう一つのよくある形式はロンド形式。この場合は主題と別のメロディが交互に出てくるような形式です。

ベートーヴェンはソナタ形式を踏襲しながら、それを破壊することも試みています。また楽章のかずも、4楽章、3楽章、2楽章といろいろで、32曲のソナタの中で、考えられうるさまざまなチャレンジをしているわけです。なるほど、新約聖書と呼ばれるのも肯けます。

ケンプとアラウという二人とも比較的王道を行く演奏を中心にいろいろ聞き比べてみると、演奏者によってクラシックも随分と違って聞こえるものだと思いました。早さ、強弱、装飾音など解釈の仕方によって同じ曲でも印象が変わります。

さらにグールドやグルダのように、かなり独自の解釈で演奏するものでは、どひゃーっと思うような違いがあったりして面白い。でも、あらためてアシュケナージとバレンボイムという有名な現役二人の演奏は、やはりムードに流されすぎでどうも好きになれません。

もっとゴツゴツとした強さがベートーヴェンのピアノ・ソナタにはあっていると感じます。こうなると、定番中の定番のバックハウスも聴きたくなってきた。

冬のソナタは・・・まぁ、起承転結があるからよしとしますか。でも、パチンコはどちらかというと、ロンドの方があっているようなきがしますね。