2008年5月6日火曜日

Wilhelm Kempff / Beethoven's Pathetique

ゴールデン・ウィークの休日も最終日。やっと好天に恵まれましたが、今更何をするでもなく過ごしております。この前予告していたとおり、休み前にWilhelm Kempffのベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集が届き、まさにヒマさえあれば聞き入っているのであります。

ベートーヴェンというと、なんか重たい響きがあって、クラシックのエベレストのような巨大な聖域のようで、以前はあまり好きではありませんでした。これはあまりに交響曲、特に「運命」のような、ある意味大袈裟な曲が有名すぎることに原因があるのでしょう。

ところが、Glenn Gouldの演奏するGoldberg Variations(J.S.Bach)に巡り会って、クラシック音楽に再び気持ちが入ってから、いろいろ聞くようになるとベートーヴェンは実はその膨大な作品の半分かピアノ曲であり、やはり超有名な「エリーゼのために」のような美しいメロディが所狭しと出てくることに気がつきました。

特にGouldのちょっと変わった演奏によるソナタを聞いて、これは是非他の人の演奏を聴かなければと思わせてくれたのです。これまでにClaudio Arrauの演奏はお気に入りであることは書きましたが、とにかく全集を揃えたいと盛り上がって、いろいろネット情報を調べて購入を決定したのがKempffの1960年代の演奏でした。

ある意味では、Arrauに比べて甘い感じがしますが、Ashkenazyよりも抑制のきいたどっしりとした演奏で、「たぶんこれがベートーヴェンなんだろうな」と思わせてくれるのです。特に32曲あるソナタの中でも、気に入っているのは8番の悲愴Pathetiqueです。比較的ゆっくりしたテンポですが、違和感なくスピードを変えて表現を高めていくので、知らず知らずにはまってしまう感じです。

さらに月光、テンペスト、告別、熱情などの副題がついていて有名な曲以外に素晴らしい曲がたくさんあることを知りました。自分にとってKempffの演奏がスタンダードになって、いろいろ聞くときの基本になってくれそうです。

昔なら1枚2000円から3000円するレコードではとても全集なんて手に入れることはできませんが、今のようなCD8枚~10枚のセットで5000円から10000円くらいで買えるなんて言うのは夢のような話です。数年後にはブルーレイディスクで1枚にすべて詰まって数千円で出てくるのかもしれません。

となると、あらためてArrauでも全部聞いてみたいと思うのは当然のところです。こちらは協奏曲も全部ついて14枚セットです。あー、どうしよう。いー、聞きたい。うー、欲しい。えー、大人だし。おー、買っちまえ。というわけで、いつものHMVがGW中はポイント2倍というのをいいことに、買ってしまったのです。

そうすると、貯まったポイントで、何ともう1セット買えるではないですか。どう思います。1000円、2000円クラスのものならいつでも買えますけど、10000円程度の物はなかなか買うのに勇気が要りますから、ポイントで出費なしで手にはいるならDon't mind!!です。

となるとGilelsです。この人のはHMVのユーザーレヴューも頭抜けて多いんですよね。ただ残念ながら、あと5曲を残して急逝したため全集になっていない。それでも聞く価値ありという評が圧倒的です。というわけで、連休明けからはArrauを聞きまくります。そして次の週はGilelsを・・・

当分ベートーヴェンだけで生きて行けそうな雰囲気です(というより、だけで生きていかないとという方が正しい)。

追記 それにしても現役の人気者AshkenazyやBarenboimの前週の評価が大変悪いのはどうしてなんでしょうかね。