2008年5月31日土曜日

関節リウマチでの生物学的製剤の使い方

昨夜は関節リウマチの勉強会。聖マリアンナ医科大学リウマチ科助教授の山田秀裕先生のお話を聞いてきました。山田先生は日本のリウマチ治療をリードする一人で、自分も神奈川県内では、唯一困ったときに患者さんを紹介させていただいています。

クローズな会で、出席者も10名足らずでしたが、なかなかふだん聞けない率直な話を聞けて大変参考になりました。

生物学的製剤の一つであるエタネルセプト(エンブレル、ワイス=武田製薬)を使う場合、本来の用法は週に2回の注射となっており、一般的な治療効果の報告なども週に2回の使用を前提にしています。

しかし、薬の値段が高いこと、週に2回通院していただくのは大変なこと、薬の血液中の濃度が高いと副作用のリスクも増大することなどを考慮して、自分の場合はまずは週に1回から開始としています。

すると、実際には半数の患者さんは週に1回で十分な効果がでるのです。効果が不十分の場合には、少しずつ投与間隔を短くしていくことで、効果発現の最小量を探るようにしています。

以前にレフルノミドという新薬が出たときに、最初に大量投与することで効果を一気に出すという用法で、多くの副作用が出て痛めにあっていますので、クリニックという施設の関係で、入院などのベッドを直接持っているわけではありませんから、少しでも危険を回避したいというのも大きな理由です。

昨日の山田先生の話で、「目からうろこ」というのはまさにこのことだなぁ、と思いました。日本人の平均的な体格から週に2回は過量であることは報告があり、週に1回25mgあるいは週に10mgを2回といった使い方が理想的であるということです。

量が増えれば感染症という副作用を起こす可能性がどんどん増えるわけです。実際、山田先生のところでも週に1回や量を少なくしての使用をやっているそうです。このあたりのデータが早く整理されると助かります。

ただ、高い薬ですから、半分捨てて使いましょうとはなかなか言いにくいですよね。そのあたりを製薬会社が今後整備してくれることを願う次第です。