2025年12月1日月曜日

決戦は日曜日 (2022)

今。話題になっている「君の顔では泣けない」で監督と脚本を担当している坂下雄一郎が、その一つ前にやはり監督・脚本した作品です。日本の政界には二世議員と呼ばれる方が数多く存在しますが、ユーモアと皮肉を込めて(?)その実態に迫る映画になりました。

父親の衆議院議員が病で倒れたため、後援会や市議会議員らの後押しで娘の川島有美(宮沢りえ)が地盤を引き継いで立候補することになりました。父親から引き続き担当する事務所のスタッフは、濱口祐介(小市慢太郎)、岩渕勇気(赤楚衛二)、田中菜慈(内田慈)、そして直接の世話をする秘書として谷村勉(窪田正孝)です。

しかし、政治の世界にはまったく素人で、様々な周囲の人々のしがらみなどまったく気にしない有美は、あちこちでたくさんの問題を起こして、谷村たちをやきもきさせてばかりいるのです。差別的な発言をしたり、突撃ユーチューバーと喧嘩をしてニュースになったりしても謝罪しないため、ついに後援会の重鎮は引き上げてしまいます。

谷村らが一生懸命にお膳立てをして、それらを何とか納めていき、何とか選挙戦に突入します。いろいろあっても、父親への信用から世論調査では楽勝と思われていましたが、公示後に父親のかつての特定企業への口利き疑惑がスクープされてしまいます。さらに、市議会議員や支援する企業の役員たちが、これまでの既得権益を守ることを要求してくるのです。

有美は初めて裏の世界を知り、政治に対して幻滅して立候補を取り下げると言い出すのです。そんなことをされたら、我々は全員仕事が無くなると谷村は必死になだめるのですが、しだいに谷村自身も考えを変えるようになり、有美に「立候補を辞めるわけにはいかないので、落選しましょう」と持ち掛けるのです。

谷村の作戦で、有美は再び暴れまわって、動画をネットに上げます。対立候補の立会演説でヤジを飛ばしたりするのですが、なかなか支持率が落ちません。ついには、父親のスキャンダルの相手が事実を認めてしまい、これで一気に落選に向かうと思ったとたん、北朝鮮がミサイルを発射したことで話題は一気にミサイルに流れてしまうのでした。

もちろん、早くから政治の世界を垣間見て勉強してきた二世の方は大勢いるのでしょうから、この映画を見たら憤慨するかもしれません。ただ、立候補する人が純粋に日本を良くしたいとだけ思っているというのは稀で、おそらくは多くの利権が絡んでいたりするだろうということは普通に想像できることです。

この映画では、本来はブラック・ユーモア的な題材を、ギリギリ表立って笑えるように作ったところが味噌です。それは、宮沢りえとしてはかなり奇抜な演技と、とにかく議員秘書の大変さを具現化した窪田正孝の演技によるところが大きいと思います。

実際に有美のように最初から最後まで本音を言いたくてたまらない議員が増えると、政治はもっと面白くなると思います。ただし、その一方で、そんな人ばかりだとまとまる話もまとまらなくなりそうですから、ある程度のバランス感覚は必要でしょうね。