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2007年9月30日日曜日

成毛滋 / FRIED EGG

自分が高校生の頃は、文化祭といえばバンド、バンドといえば、ロック、ロックといえば・・・Led Zeppelin - Deep Purpleが全盛期で、誰もがコピーして演奏していたんですよね。

当然ギターは花形で、Eric Clpaton - Jeff Beck - Jimmy Page - Ritcie Blackmoreはアイドル。

彼らが使っているのは、当然Fenderのストラトキャスターかテレキャスター、あるいはギブソンのレスポール。ところが、高校生に当時20万もするようなギターが買えるはずがない。

最初に買うのはたいていのマンガ雑誌なんかに出ていた新小岩駅前の通販ショップで1万円くらいのトーマス(機関車じゃないよ)とかトムソンとかになる。ロゴがそっくり。今だったら中国製模造品並み。ちょっとがんばるとグレコが主流になる。日本製エレキギターの元祖みたいなもんです。

このグレコギターを買うと付いてきたのが成毛滋のソノシートとかカセットテープ。これを聞くと、「おーっ、そうだったのか。ペイジはそうやって、あの固いトーンを出すのか」とか、「クラプトンの泣きの音はそうだったんだぁ」とかわかっちゃう。即戦力のすぐれもの。

自分はアドリブ早弾きはできなかったので、伴奏程度でしたが、それでもちょっとうまい友人は成毛滋の影響を受けなかった人はいないでしょう。

当時の日本のロックは、グループサンウドに毛が生えた程度のお粗末なもので、誰も文化祭でやろうなんてものはなかったんですよ。バンド少年のレパートリーといえば、Smoke on the Water - Communication Breakdown - Sunshine of Your Love等など。

ところが成毛が出したFRIED EGGは、日本人とは思えないすごい音でした。まさにこの音がロックなんだよ、という感じ。成毛はオルガンもいけていて、当時のロックバンドの定番だったハモンドにレズリーを使用して、これもまた「これなんだよ」の世界。
ドラムは「めりじぇ~んオンママイ・・」のつのだひろ。ベースはまだ小僧だった高中正義。ディーパーばりのヘヴィなサウンドで始まり、EL&Pのタルカスのパロディ「オケカス」などこれでもかこれでもかの大行進。

ところが、成毛はこのレコードの前にその前身であるバンドで1枚、この後に解散宣言アルバムを1枚の3枚しか残していないのです。今のJPOP全盛のご時勢を考えると、20年、いや10年早すぎたのかもしれません。
レコードは持っていましたが、とっくに処分。でもたまたま友人にCDを貸して貰えたので、時々聞くと、やはり今でも通用するかも、と思ってしまいます。でも、それは今のJ-ROCKがあまり進歩していないということの裏返し。

成毛滋、60才。大腸癌で今年の3月に亡くなりました。なんか理由もなく毎日が楽しかった高校グラフィティの一部を担ってくれた方です。